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ホール(オーケストラ)
ポーランドの気鋭指揮者ウルバンスキがPMFに帰ってくる!
PMFオーケストラ演奏会

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ウルバンスキは、PMF2011に会期直前にキャンセルとなった指揮者の代理として初参加で登場し、オーケストラと観客に鮮烈な印象を残しました。活躍の幅を広げ、欧米の著名オーケストラの音楽監督や首席指揮者を歴任。14年にはベルリン・フィルへのデビューを果たし、15年にはレナード・バーンスタイン賞を授与するなどキャリアを重ねて、この夏PMFに再登場します!

ソリストには、2013年に同じくレナード・バーンスタイン賞を受賞しているヤン・リシエツキ(ピアノ)を迎え、グリーグのピアノ協奏曲を演奏します。ウルバンスキと数多く共演し、相性の良さも抜群です!

そしてメインには、ショスタコーヴィチの交響曲第5番を披露。祈りのような第3楽章について、ウルバンスキは「ショスタコーヴィチが書いた中で最も個人的な音楽に違いない」と述べています。PMFオーケストラからどのような響きを紡ぎ出すのか、ぜひご期待ください!

「演奏曲目」欄の「曲目解説」バナーをクリックすると、ウルバンスキ自身によるショスタコーヴィチの交響曲第5番の解説文をご覧いただけます。

☆PMFにビデオメッセージが届いています!
  クシシュトフ・ウルバンスキ(指揮)

  ヤン・リシエツキ(ピアノ)

PMF2011より
クシシュトフ・ウルバンスキ ©Marco Borggreve
ヤン・リシエツキ ©Christoph Köstlin

開催日

2023年7月15日(土)

時間

開場
16:20
開演
17:00
終演(予定)
19:00

演奏曲目

◆バーンスタイン:
「キャンディード」序曲

(演奏時間:約5分)
 
◆グリーグ:
ピアノ協奏曲 イ短調 作品16*

(演奏時間:約30分)
 Allegro molto moderato
 Adagio
 Allegro moderato molto e marcato
 
 
 
≪休憩≫
 

◆ショスタコーヴィチ:
交響曲 第5番 ニ短調 作品47

(演奏時間:約45分)
 Moderato - Allegro non troppo
 Allegretto
 Largo
 Allegro non troppo
 
 

≪演奏時間:休憩あり・約2時間≫


入場料
(税込)

 
※公演当日16時から札幌コンサートホール・エントランスホールにて当日券を販売します(S・B席若干数、A席余裕あり)。ユース・ウイング席も当日受付を行います(約20名)。
 

席種 定価 フレンズ割 U25割
S 6,000円 5,100円 3,000円
A 5,000円 4,200円 2,500円
B 4,000円 3,400円 2,000円
Y - - 0円*

ユース・ウイング(Y)席の同伴者:1,000円(人数制限なし・未就学児でなければ年齢は問いません)
 
  
チケット発売日

PMFオフィシャル・サポート
最優先予約
5月13日(土)
PMF2023フレンズ会員
先行予約
5月14日(日)
10:00~
PMFオンラインサービス会員
先行予約
5月19日(金)
10:00~
一般発売 5月20日(土)
10:00~

備考

☆有料託児サービス事前予約受付中
[お問い合わせ・お申込み] 札幌シッターサービス
011-281-0511(平日9:00~18:00)
 
▼やむを得ない事情により、開演時間、出演者、曲目等が変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。
▼本公演では、オフィシャル・カメラマンが記録目的のために撮影を行います。あらかじめご了承ください。
 
文化庁2022
令和5年度文化資源活用推進事業

主催:公益財団法人 PMF組織委員会/札幌市
共催:札幌コンサートホールKitara
助成:公益財団法人 三菱UFJ信託芸術文化財団
 
 ≪公演に関するお問い合わせ≫
PMF組織委員会 TEL. 011-242-2211

◆ショスタコーヴィチ:交響曲 第5番 ニ短調 作品47
(文)クシシュトフ・ウルバンスキ

ショスタコーヴィチの第5番は、間違いなくこれまでに書かれたもっとも偉大な交響曲のひとつであり、個人的にも好きな作品のひとつだ。この真の傑作は、ショスタコーヴィチを取り巻く世界の投影であり、彼自身の視点による1937年のレニングラードでの生活の現実が音楽に描かれている。この時代は、ショスタコーヴィチにとって「最悪の時代」だった。『ムツェンスク郡のマクベス夫人』の初演後、スターリンの激しい反応に促されこのオペラが公式に批判されて以降、ショスタコーヴィチはソヴィエト共産党から厳しく監視されることとなった。彼は尋問のため召喚されていたが、尋問官自身が逮捕されるという運命の思わぬ展開によりこれを逃れた。彼は毎日、自分の命や家族の安全が脅かされる恐怖を感じていた。「大粛清」の時代、多くのソヴィエト人民が何の前触れもなく逮捕され、処刑あるいは収容所に入れられていたことからだ。彼は、恐らく避けられないであろう逮捕に備えて、必要なものを詰めた小さなスーツケースを昼夜問わず常に用意していた。
 
しかし、この脅威も彼の作曲への気持ちを封じることはなかった。そのために、抑圧へ対処する方法を見つけ、当局を喜ばせ、公的批判を受ける危険から距離を置く新しい音楽を創造しなければならなかった。交響曲第4番は、不協和音や暗い雰囲気、そして静寂の中に消えていく終わり方が非難されたことから、第5番は、共産党に「親しみやすい」と思われるような作品を生み出すため意図的にその音楽語法を単純化している。すなわち、前向きな精神にあふれ、圧倒的に高揚して終結する作品にしたのだ。このような疑心暗鬼が、若く才能ある作曲家を破滅させ、ソヴィエトのプロパガンダ作曲家にしてしまったと想像するかもしれない。一見、この作品はオーケストラの華麗さが満載で楽観的で、「幸せ」であるような曲と映るかもしれないが、私は、逆にきわめて悲劇的な交響曲だと確信している。近づいてよく見てみると、人形を開くと次々と小さな人形が現れるロシアのマトリョーシカ人形のように、多くの層を発見できる。この曲の実に驚嘆する一面は、作曲者のもっとも個人的な思いが音符の間に秘められていることなのだ。
 
この交響曲は -少なくとも私には、2つのパートに分けられるように見える。最初の2つの楽章では、ショスタコーヴィチは傍観者、つまり客観的な語り手として世界を描写している。まるでモノクロの沈んだ色調の中、窓辺に腰掛け、そこから奇怪で秩序のない世界を見ているかのよう。完全に希望が失われた世界だ。第1楽章で使われているフレーズは、すべて希望とともに上行するが、下行して元の沈鬱した悲観的な状態に戻ってしまう。
 
第2楽章「アレグレット」にも隠されたメッセージがある。表面的には、コメディ、冗談、スケルツォのように聴こえるが、このように非人間的な環境では、皮肉、諷刺、そしてグロテスクなものにこそ真実が隠されており、真実を話す者には死が訪れる。この楽章で、ショスタコーヴィチは、私たちにカーニバルの歪んだ鏡に映った世界を見せる。チャイコフスキーのバレエ音楽のワルツ(社交ダンスの中でももっとも優雅なもの)をぼろぼろでみすぼらしい酔っ払いが汚い泥道で踊っているかのようだ。
 
私にとってこの交響曲全体の鍵は第3楽章にある。ここで作曲家は、私たちを完全に別世界、超越した個人の側面にいざなう。ドラマは彼のまさに魂の中で展開する。彼がこれまでに書いたもっとも個人的な音楽に違いない。楽章全体が祈りであり、彼自身の内なる自分との対話だ。ロシア正教の教会のように、弦楽器が聖歌隊の歌声を模倣する。木管楽器の独奏は、親密で心を動かす作曲家自身の声や考えを表す。そして、この楽章は「アーメン」の2音で終わる。
 
そして第4楽章…真の悲劇が始まる。スターリンの秘密警察であるNKVD(内務人民委員部)が、私が「恐怖のモティーフ」と考える主題とともに登場する。秘密警察の彼に対する必死の追跡が始まる。ショスタコーヴィチのメトロノーム記号の分析はとても興味深い。きわめて穏やかな歩くペースに近い四分音符♩=88の「アレグロ・ノン・トロッポ」(Allegro non troppo)で始まり、その8小節後にはすでに「少しずつ次第に速く」(Accelerando poco a poco)と指示があり、その3小節後に四分音符♩=104となり、数ページごとに108、120、126、132、、、とさらに加速する。まるでショスタコーヴィチがいくら逃げても常に追跡されているかのようだ。彼は、迫害者から逃れられるまでスピードを上げて逃げ続けるが、自由は幻想と化す。ここで曲は最速のメトロノーム記号に到達する。二分音符=92、冒頭のほぼ2倍の速さだ。しかし、ここで聴こえる音楽(冒頭の「恐怖のモティーフ」)は、元の音符の長さの2倍で書かれているため、まるで周回して戻ってきたかのように冒頭と同じスピードでこの「恐怖のモティーフ」が演奏される。主人公は、罠にとらわれ、「どれだけ速く走っても必ず捕まる」という苦い真実が明らかになる。
 
ここで低音「ラ」の連続音がティンパニによって執拗に叩かれ、被害者の洗脳が始まる。終曲に近づく頃には、この「恐怖のモティーフ」が完全に新しい光の中で演奏される。明るく、解放的なニ長調が勝利のフィナーレをほのめかす。しかし、今やオーケストラ全体が演奏する、神経質に何度も繰り返される「ラ」の音は、ロシアの民衆、そして暗に作曲家自身に振り下ろされる警棒のようなものだとショスタコーヴィチ本人が語った*とされ、一方で音楽は何度も何度も「喜べ!喜べ!それがお前たちの仕事だ!」と宣言する。ここでショスタコーヴィチは、ムソルグスキーの歌劇『ボリス・ゴドゥノフ』で無慈悲な貴族たちが新しい皇帝になりすましたボリスを喜び称えるふりをするよう強要するシーンを引用している。これは、普遍的、絶対的な称賛を渇望し、異議を唱える者には残忍な罰を与えた独裁者スターリンを暗示している。
 
そして作曲家は、自身を独裁体制の無力な道具とみなし、迫害者と向き合う時は従順に「はい!ソヴィエトの芸術家として労働は喜びです、労働は喜びです…」と繰り返す。実はこの騒がしい歓喜の瞬間は、彼自身の個人的な悲劇なのである。
 
 
*ソロモン・ヴォルコフ著『ショスタコーヴィチの証言』(1979)

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