ウィルソン・ウンは、タトラー・アジア誌で「世界で最も評価の高い若手指揮者の一人」と評された。卓越したコミュニケーターであり、聴衆と関わるための創造的かつ革新的な方法を見つけることに尽力し、アジア圏を中心に文化的境界線を越えるための特別な能力を示している。
近年、ハンギョン・アルテ・フィルハーモニックの首席客演指揮者に就任。2023/24シーズンにウンが指揮するソウルでのコンサートは、全てハンギョン・アルテTVで生中継される。また、同オーケストラのソウル・アーツ・センター・オーケストラ・フェスティバルと香港芸術祭での初出演も控えており、後者ではスカラ座バレエとの共演を予定している。
同シーズン中には他にも、ローザンヌ国立管弦楽団、NCPA管弦楽団(北京)との初共演、香港フィルハーモニー管弦楽団、プチョン・フィルハーモニック管弦楽団、テジョン・フィルハーモニック管弦楽団との再共演も予定している。また、トゥールーズ国立管弦楽団との共演では、近年共にフランスのレーベル、ナイーブから録音をリリースしたマンドリン奏者のジュリアン・マルティノーとの再共演も予定している。
香港生まれ。青年期からヨーロッパで教育を受け、フルートを学ぶ。リヨン国立オペラ・バレエ団などでゲスト・ソロ・フルート奏者として演奏したのち、指揮者に転向。ベルリン芸術大学、スコットランド王立音楽院にて研鑽を積む。PMF、アスペン音楽祭ではコンダクティング・アカデミーに参加。また後者では、ジェームス・コンロン指揮者賞を受賞。マーラー・コンクール、サー・ゲオルグ・ショルティ・コンクール、スヴェトラーノフ・コンクールなど名立たるコンクールで入賞を果たす。18年、ソウル・フィルハーモニー管弦楽団史上最年少となる28歳で副指揮者に任命された。
フランクフルト放送交響楽団、ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニー管弦楽団、デュッセルドルフ交響楽団、中国国立交響楽団などの一流オーケストラと共演。客演指揮者をつとめる香港フィルハーモニー管弦楽団との共演機会は多く、香港最大級の野外音楽イベント「シンフォニー・アンダー・ザ・スターズ」でも同団を指揮している。
伝統的な西洋の規範に精通していながらも、タン・ドゥン、武満徹、イェ・シャオガン、郭文京、リン・チャオ、ウンスク・チン、イサン・ユン、ドーミン・ラム、ティン・チョン・ソーなど、アジアの作曲家の作品にも力を入れている。アジアの次世代作曲家の支援にも熱心で、24年は第7回NCPA若手作曲家プログラム最終選考コンサートでの指揮を予定している。
15年、香港でグスタフ・マーラー・オーケストラを創設以降、現在も同団の芸術監督をつとめている。オーケストラメンバーと共に、聴衆が奏者の間に座り音楽に浸る体験を楽しむ革新的なプロジェクト「ミュージシャン・ウィズアウト・ボーダーズ」を創案した。ウンは、香港の恵まれない学生に無料の学習体験を提供することを目的とした団体「aboutMusic Foundation」の共同創立者でもある。
PMFには15年にコンダクティング・アカデミー生として参加。今回、PMFホストシティ・オーケストラ演奏会にて札幌交響楽団を指揮する。

 

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