「信じるためには聴かなければならない現象」(オペラニュース)、「魅惑的なルチアである」(ニューヨークタイムス)と 称賛される。アルビーナ・シャギムラートワは2007年モスクワのチャイコフスキー国際コンクールで優勝し、国際的な注目を集めた。この直後、ザルツブルグ音楽祭でリッカルド・ムーティの指揮の下、夜の女王を歌いヨーロッパオペラデビュー。モーツァルトの「魔笛」におけるこの役の世界屈指の歌手と評価されるようになり、メトロポリタン歌劇場、ロイヤル・オペラ・ハウス、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場、ドイツ・オペラ・ベルリン、サンフランシスコ・オペラ、ボリショイ劇場、ロサンゼルス・オペラ、ヒューストン・グランド・オペラ、ハンブルク国立歌劇場、ルツェルン音楽祭などに出演。
17年4月に公開された新しい映画版のトルストイの「アンナ・カレーニナ」では、伝説のソプラノ歌手アデリーナ・パッティを演じた。18年9月、オペラ・ララは、シャギムラートワを主役にロッシーニの「セミラーミデ」を録音。他にも、ウィーン国立歌劇場の「椿姫」、バイエルン国立歌劇場の「後宮からの誘拐」、バービカン・センターで「世襲貴族」に出演。ブルックナーハウス、オタワの国立芸術センター、フィルハーモニー・ド・パリ、エルプフィルハーモニー・ハンブルク、ミュンヘンのガスタイク、ウィーン楽友協会で催されたブリテンの「戦争レクイエム」に出演。
近年は、「ドン・ジョヴァンニ」(グラインドボーン音楽祭)、「椿姫」(ヒューストン・グランド・オペラ)で大成功を収めるほか、「ランメルモールのルチア」(メトロポリタン歌劇場、ミラノ・スカラ座、ロサンゼルス・オペラ、ドイツ・オペラ・ベルリン、ボリショイ劇場、ヒューストン・グランド・オペラ)、「リゴレット」(リリック・オペラ・オブ・シカゴ、サンフランシスコ・オペラ)で活躍している。
ボリショイ劇場では、ウラディーミル・ユロフスキー指揮、ドミトリー・チェルニャコフ演出による新演出の「ルスランとリュドミラ」に出演し、同劇場でリサイタルにも出演した。 プーチン大統領からはロシア名誉芸術家の称号や、タタールスタン人民芸術家の称号を与えられ、タタールスタンのミンニハーノフ大統領からはトゥカイ国家賞を授与された。
また、「ランメルモールのルチア」のルチア役の演技を認められ、第23回《ゴールデン・マスク》国家演劇賞の最優秀オペラ女優賞を受賞したほか、スペインのフランシスコ・ビニャス国際声楽コンクール及びチェリャビンスクのグリンカ若手オペラ歌手国際コンクールでも入賞。
タシケント生まれ。ピアニストとして音楽の勉強を始め、カザンのアウハデーエフ音楽大学、カザン国立大学に通い、そこで声楽とオペラの学位を取得。モスクワ音楽院に留学し、首席で卒業したのち、07年に博士号を取得。ヒューストン・グランド・オペラ・スタジオの卒業生でもある。
PMFには初めての参加。