2019-20シーズン、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の芸術監督および首席指揮者として初めてのシーズンを迎えている。ドイツ伝統の系譜に連なる偉大な巨匠のひとりであり、ワーグナー、シュトラウス、ブルックナー、ブラームス、ヒンデミットほか新ウィーン楽派の作品解釈に世界的定評があり広範囲に渡る際立ったディスコグラフィを誇る。
2014年から17年にかけて、「東京・春・音楽祭」でワーグナーの「ニーベルングの指輪」全曲公演を指揮し、20年、「トリスタンとイゾルデ」を指揮。
ベルリン・フィル、ケルンWDR響、NDRエルプ・フィルハーモニー管、バイロイト祝祭管、ブダペスト祝祭管、チューリッヒ・トーンハレ管、スイス・ロマンド管、フランス放送フィルハーモニー管、オスロ・フィルハーモニー管、NHK交響楽団、東京オペラの森のほか、北米では、サンフランシスコ響、シカゴ響、ワシントン・ナショナル響などを中心に客演を重ねている。
ワルシャワに生まれ、ドイツで学んだヤノフスキは、アーヘン、ケルン、デュッセルドルフ、ハンブルクなどでのアシスタント・コンダクターを皮切りに、フライブルク・イム・ブライスガウ、ドルトムントで音楽監督に就任。ドルトムント時代に短期間でその手腕が評価されるようになりヨーロッパのおもな歌劇場へ招かれるようになった。1970年代以降は、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場、バイエルン国立歌劇場、シカゴ、サンフランシスコ、ハンブルク、ウィーン、ベルリン、パリなど世界の歌劇場に定期的に客演し、現在では、欧米のメジャーオーケストラから高い評価を得ている。ドレスデン・フィルハーモニーへの帰還(01年から03年にかけて首席指揮者をつとめた)は、同市の文化宮殿のオープニングとも合わせてドレスデンから寄せられる信頼の高さを表している。
1984年から2000年にかけてフランス放送フィルハーモニー管の音楽監督をつとめ、同オーケストラの評価をフランス国内のみならず海外にも広げた。86年から90年には、同時にケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団の首席指揮者、97年から99年には、ベルリン・ドイツ交響楽団の第1客演指揮者をつとめた。2000年から05年には、モンテカルロ・フィルハーモニー管の音楽監督、02年から16年には、ベルリン放送響の監督を歴任。
30年以上に渡って積み上げられてきたヤノフスキの際立ったディスコグラフィは、シュターツカペレ・ドレスデンとの録音によるワーグナーの「指輪」全曲(80-83年)をはじめ、オペラ全曲集や交響曲のシリーズを含め、多くの国際的な賞を受賞している。スイス・ロマンド管とのブルックナーの交響曲全集(ペンタトーン)も非常に評価が高い。最近は、リセ・ダヴィドセン、アンドレアス・シェーガー、フランクフルト放送響、ライプツィヒMDR放送合唱団と共演したウェーバーの「魔弾の射手」がリリースされた。
PMFには初めての参加。