マリン・オルソップは、国際的な音楽シーンに大きな影響を与える発信力を持つ。「音楽は人生を変える力を持つ」と情熱的に信じている未来へのビジョンと非凡さを併せ持つ音楽監督である。 革新的なプログラムと教育へ深く献身的に関わり、あらゆる年齢層の聴衆の育成に取り組んでいる。 2007年、ボルティモア交響楽団音楽監督に就任し、2度の更新を経て2021年まで任期が延長されるなど、際だった成功を収めている。オルソップの芸術的なリーダーシップにより、同楽団は初めてのヨーロッパツアーを行い、BBCプロムス、エジンバラ国際フェスティバルへ出演したほか、ボルティモアのもっとも困難な状況にいる若者のためのプログラム「OrchKids」、BSOアカデミー、年長のアマチュア音楽家のための「ラスティ・ミュージシャンズ」などの大胆なプロジェクトを実施した。 また、オルソップは、2012年にサンパウロ交響楽団の首席指揮者/音楽監督に就任し、現在もなおクリエイティブなプログラム企画やアウトリーチ活動を展開するほか、2019年には同交響楽団とアジアにおいては、香港芸術祭、ヨーロッパにおいては、ルツェルン音楽祭、アムステルダム、ベルリン、パリ、ザルツブルク、ウィーンなどで開催されるメジャーな夏の音楽祭に出演する国際ツアーが予定されており、2019年末には名誉指揮者となることが決まっている。2019年9月には、ORFウィーン放送交響楽団の首席指揮者に就任予定。
オルソップは世界各国の主要オーケストラを指揮しており、ヨーロッパでは、ロイヤル・コンセルトへボウ管、ミラノ・スカラ座管などに客演。アメリカでは、フィラデルフィア管、クリーヴランド管、シカゴ響と定期的に共演している。レナード・バーンスタインのもっとも著名な弟子の1人として、2018年に各地で行われた生誕100年記念イベントでは、ロンドン響の記念プログラムの開幕を指揮し、音楽の監修をつとめるラヴィニア音楽祭やレジデント・アーティストをつとめるサウスバンク・センターではバーンスタインの「ミサ曲」を指揮するなど中心的な役割を果たした。
2013年、オルソップはBBCのラストナイト・コンサートで指揮をした初の女性指揮者として歴史を作り、2015年にも出演した。オルソップの膨大な録音は、ナクソスで録音したロンドン・フィルハーモニックやライプツィッヒの中部ドイツ放送響との録音によるブラームス全集、ボルティモア響とのドヴォルザーク集、サンパウロ響とのプロコフィエフ集をはじめ、デッカ・クラシック、ハーモニア・ムンディ、ソニー・クラシカルでの録音がグラモフォン賞を受賞している。
このほか、カリフォルニアのキャブリロ現代音楽フェスティバルの音楽監督を25年つとめるなど現代音楽にも熱心に取り組んでいる。マッカーサー・フェローシップを受賞した唯一の指揮者であり、王立音楽アカデミー、ロイヤル・フィルハーモニック・ソサイエティの名誉会員となるなど、これまでに多数受賞を重ね、学術的な役職にも就いている。近年、ジョンズ・ホプキンス大学ピーボディ音楽院の大学院指揮科ディレクターに指名された。
ニューヨーク、マンハッタン生まれ。ジュリアード音楽院とイエール大学を卒業後、バーンスタインに学ぶ。1989年、タングルウッド・ミュージック・センターでクーゼヴィツキー賞初の女性受賞者となり、指揮者としてのキャリアが始まった。1990年、バーンスタインの招きにより第1回PMFに参加し、PMFオーケストラを指揮した。1990年以降、2回目の参加。

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