PMF Founded by Leonard BernsteinPMF MUSIC PARTNER 2018年12月号 vol. 50
 

“ミュージック・パートナー”が50号を迎えました!
読者からのメッセージをご紹介

2014年11月にスタートしたPMF MUSIC PARTNER(月刊メール)。おかげさまで50号を迎えることができました。ありがとうございます。
今回は、たくさんの読者から寄せられたメッセージの一部をご紹介します。企画・制作にいかしながら、音楽の夏が待ち遠しくなるような“情報の定期便”を続けてまいります。

男性:音楽祭の情報として貴重です。毎月のメールを心待ちにしています。いつまでも続けてほしい。/男性:ホームページには無い内容があって大変満足しています。/女性:50号おめでとうございます!コラムが充実しているので、届いたら通勤の際に読んでいます。/男性:PMFがより身近に感じられるようになりました。来年の情報など楽しみにしています。/男性:演奏曲目を説明していただけるコーナーを希望します。/女性:年に1回のPMF開催を支える年間を通しての大事な通信であるとともに、うれしいお便りです。/男性:PMFの活動状況がよくわかります。音楽配信のことも月刊メールで知りました。/男性:「バーンスタイン音楽の旅」の3人の音楽評論家による肩肘張らない対談がとても楽しいです。/女性:いつも楽しみにしています。修了生の声をもっと聞きたいです。/男性:毎月の量も適当で良いと思います。編集スタッフの努力に感謝です。/男性:“ミュージック・パートナー”のおかげでPMFがオール・シーズンになりました。
PMF MUSIC PARTNER
PMF MUSIC PARTNER(バックナンバー)
 

トピックス 〜最近の話題から〜

芸術監督ゲルギエフ、PMF2019/20を語る

11月30日、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のツアー公演で来日したワレリー・ゲルギエフが、東京都内で記者懇談会を開き、PMF2019/20のプランを語りました。主な内容は次の2点。
30回記念となるPMF2019で自身が指揮するPMFオーケストラ演奏会に、チャイコフスキー国際コンクールの木管楽器の優勝者をソリストに迎えること。PMF2020には、今秋オープンした札幌文化芸術劇場 hitaru でPMF初の本格オペラとなる、モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」を上演することを発表しました。
芸術監督ゲルギエフの情熱と今後の展開に、どうぞご期待ください!

写真:PMF2019/20のプランを語るワレリー・ゲルギエフ

ティロ・フェヒナーさん(修了生)が
女優の中谷美紀さんとご結婚

先月、女優の中谷美紀さんがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のヴィオラ奏者とご結婚されたニュースは記憶に新しいと思います。
お相手のティロ・フェヒナーさんはPMF1992にアカデミー生として参加した修了生です。

写真:ティロ・フェヒナーさん

フェヒナーさんはドイツ・ベルリン出身。スイス・ロマンド管弦楽団、ミュンヘン・フィルを経て、2004年からウィーン・フィルのメンバーとして活動されています。お二人の幸せと、ますますのご活躍をお祈りします。

世界から集まり、世界に羽ばたく修了生たち >

これまでにPMFで学んだアカデミー生(修了生)は76ヵ国・地域から延べ約3,500人。現在、200を超える世界各国・地域のオーケストラで活躍しています。

図:修了生の出身国内訳
 
生誕100年記念 特別連載企画 バーンスタイン音楽の旅 特別編Ⅲ

“History(歴史)はHis Story(彼の物語)”をコンセプトに、珠玉のエッセイとナクソス・ミュージック・ライブラリーの音源とともに、レナード・バーンスタインの人生を旅した「音楽の旅」。
本編に続いて10月号から連載中の特別編も今回が最終回です。奥田さんと山田さんのトークは1985年にタイムスリップします。そして、執筆陣の3人からは『どんなに時が流れても、PMFには様々なかたちでバーンスタインのことを語り継いでほしい』という熱いリクエストがありました。
それでは、トークの続きと山田治生さんの公演評(バーンスタイン:セレナード(プラトンの『饗宴』による))をお楽しみください!

写真:バーンスタイン像の前での山田治生さん・奥田佳道さん・小田島久恵さんと丸美珈琲・中島公園店でのトークの様子 © Yasuo Fujii

Discussion Topic

バーンスタインのことを語り継ぐことは
PMFの使命だと思う。

奥田

1985年の8月6日と7日、バーンスタインはECユース管弦楽団(現在はEUユース管弦楽団)と「広島平和コンサート」を行いました。出演者の中には、才能あふれる若きアーティスト、大植英次(指揮)と五嶋みどり(ヴァイオリン)も。そして、約1ヵ月後にはイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団と来日し、あの伝説の大名演が生まれました。会場はNHKホール、プログラムはブラームスの1番とマーラーの9番。山田さん、あのヴィオラの名手、憶えてる?

山田

はい、ダニエル・ベニャミーニでしょう。

小田島

あの日、あの時、あの場所に、二人ともいたんですね!その話、もっと聞きたいです。

山田

終演直後、それはもう自分の心臓の音が聞えるほどの、すごい沈黙でした。30秒くらいだったかな。

奥田

僕なんて見栄を張って高い席を買いました。NHKホール2階のバルコニーの張り出し付近にいたんですが、そのときは息をするのも辛いくらいで…バクッ、バクッという自分の心臓の音が周りの人に聞えてたら、まずいなと勘違いするくらい。

小田島

同じこと言ってるじゃないですか(笑)。バーンスタインが、その日、そういう音楽を創り出したということですね。

奥田

バーンスタインもオーケストラもホールも固まっていました。今は『タクトが下ろされるまで拍手しないでください』というようなマナー教育もあってか、作られた沈黙が多いけれど、このときの沈黙はね、作られたとか何とか、そういう、こざかしいことではなくて、NHKホールにいた3,600人が、感動の余り、どうしていいか分からないという自然発生的な沈黙でした。オケの誰かの譜面台からカチッと音がしたのをきっかけに、拍手が沸き起こり、それが何分続いたことか。

山田

あれは奇跡的な瞬間でしたね。開演時の拍手も、それまで聞いたことが無いタイプの拍手だったことを憶えています。バーンスタインが東京で演奏するのは6年ぶりで、みんなの想いや期待のようなものが込められた拍手だった。それと、死を表す音楽(マーラーの9番のこと)というのは、聴き手に、生きてることを実感させるものだと思いました。

奥田

何度も続いたカーテンコールで、『もう出て来ないだろう』と思ったときに登場したバーンスタインは、黒いガウンを肩から羽織っていた。その姿がまるで司祭のようで…30年以上も前のことですが、こうして話しているだけで鳥肌が立ちます。バーンスタイン自身も、この日の演奏のことは「奇跡が起きた」と言ってますよね。

小田島

司祭って…あのカトリック教会の聖人にして、ノーベル平和賞の受賞者でもある、マザー・テレサと同じ乙女座。バーンスタインの魂の本質ですね(笑)。

奥田

来年、PMFは30回ですが、それを機に新たな方向性などが示されるんでしょう。

山田

話が逸れますが、25歳のとき、バーンスタイン好きが高じて会社を辞めてニューヨークに渡りました。ニューヨークに行けば、彼が聴けると思ったからです。1989年から1990年にかけてです。滞在中、彼のコンサートは7回聴きました。結果的にラスト・シーズンとなってしまいましたが。チャイコフスキーの4番、オール・コープランド、ウィーン・フィルとのシベリウスの1番、ブルックナーの9番…。僕は3日前のコンサートのプログラムは思い出せないけれど、30年前とかの曲目は鮮明に憶えているんです(笑)。

奥田

僕もバーンスタインについては、決してノスタルジーだけじゃなくて、ウィーン、東京、イスラエル、広島などのコンサートは日付も記憶しています(笑)。

山田

閑話休題。30年前、死にかけているときに、わざわざ札幌に来て、バーンスタインはPMFという教育音楽祭を創った。世界で名を馳せた彼ほどのスーパースターが、日本の、しかも東京ではなく札幌でというのはインパクトが大きかったですね。それだけの覚悟と情熱をもって、命がけで彼はやったのだから、生誕100年とか30回記念だからということではなく、どんなに時が流れても、PMFにはバーンスタインのことを語り継いでほしいですし、それが音楽祭としての使命だと思いますよ。

PMF

アカデミー生は20代ですから、バーンスタインのことを知らない人もいます。

奥田

演奏家の側もドラマチックに世代交代しているから、28年前に亡くなったバーンスタインのみならず、14年前に亡くなったカルロス・クライバーのことも知らない(名前は知っていても、一緒に演奏した経験がない)。実際、ベルリン・フィルのメンバーから『俺達、カラヤンのこと全然知らないから、昔のこと教えて』と言われたこともありますし。

山田

だからこそ、語り継がないと。僕が昔話をするのは、自分が長年いろいろ音楽を聴いてきたから自慢したいというよりも、それは若干あると思うけれど(笑)、言わないと、みんな忘れてしまうからなんです。そんなこともあり、機会があれば古い話をするようにしています。

奥田

創設から30年を迎えるにあたり、バーンスタインの理念やPMFの原点を大切にしてほしい。『彼はすごい人だった』と言うだけでなく、例えば、PMFに出演する新進気鋭の指揮者は、必ずバーンスタインの「シンフォニック・ダンス」でデビューするというような「定番」をプログラムの中に作るとかね。

小田島

それと、PMFで学ぶアカデミー生は全員、オリエンテーションなどでバーンスタインの最後のリハーサル映像(シューマンの2番)を見るべきですよ。今回のために改めて見ましたが、また泣いてしまいました。あの感動的なシーンは時代も世代も関係ない。バーンスタインは忘れようがない音楽家です。現在、活躍している音楽家の中には、彼と同じように指揮者であり作曲家である人もいます。でも、バーンスタインのすごさと比較したら、その意味も、その規模も全く違うんです!

山田

最後にもうひとつ。音楽祭の魅力を失わないためには、リノベーションも大切だと思います。逆説的に聞えるかもしれませんが、バーンスタインのことを語り継ぎながらも、時流に応じて音楽祭の中身を刷新・改善していくことは、いつまでも彼の理念とPMFの原点を守り続けることにつながるからです。

山田 治生による公演評
山田 治生(やまだ・はるお) 音楽評論家。1964年、京都市生まれ。1987年、慶応義塾大学経済学部卒業。1990年から音楽に関する執筆を行う。著書に「トスカニーニ 大指揮者の生涯とその時代」、訳書に「レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー」(ともにアルファベータ)などがある。
Twitter:@yamadaharuo1964

PMFオーケストラ演奏会 プログラムB
バーンスタイン:セレナード(プラトンの『饗宴』による)

7月21日、オール・バーンスタイン・プログラム2曲目の「セレナード(プラトンの『饗宴』による)」のヴァイオリン独奏者として、五嶋みどりが登場した。28年ぶりのPMF出演。というより、1990年、第1回PMFで、バーンスタイン自身が指揮するロンドン交響楽団とこの「セレナード」を共演して以来のPMFへの参加である。
「セレナード」は、バーンスタインがプラトンの「饗宴」(宴会に集まったギリシャの賢人たちが「愛」について演説し合う)にインスピレーションを受けて1954年に書き上げた作品。独奏ヴァイオリン、弦楽合奏、ハープ、打楽器という編成。この日は、弦楽器が12、10、8、6、4というやや小振りな人数(しかしそれが丁度良い)で、オーケストラ・アカデミーの教授陣(PMFアメリカ)が首席に座った。指揮はエドウィン・アウトウォーター。
五嶋みどりの集中力が素晴らしい。音に深みがあり、とりわけ弱音の表現力に魅了される。力みはなく、オーケストラに入り込んで、オーケストラの一人ひとりとコミュニケーションを取ろうとする。協奏曲というよりは室内楽。第1楽章は愛の神エロスを讃美するファイドロスとパウサニアスを描くが、みどりのヴァイオリンは美しく、しなやかで、ときに官能的でさえある。第4楽章での最弱音ゆえの強い表現が印象に残る。
翌22日のコンサートでも濃密な演奏が聴けた。みどりの高い技巧性と美音。そして作品にふさわしい官能性。第5楽章では饗宴で酔っぱらうような表情も。オーケストラも前日よりも積極的に楽しんで演奏していた。
五嶋みどりは、両日とも、アンコールとして、バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 第3楽章ラルゴを演奏した。つぶやくように始まり、生き生きと高揚していく。
弦が2度切れても演奏を続けたことで知られる1986年タングルウッド音楽祭での伝説的なバーンスタインとの共演、そして1990年のPMFでの演奏、と「セレナード」を作曲者のもとで弾いてきた五嶋みどりが、今も真摯に作品に取り組み、それを若い奏者たちと分かち合う姿は感動的であった。

 

PMFボランティア「ハーモニー」設立20周年
得意分野の活動で音楽祭をバックアップ!

音楽祭の期間中、独自の活動でPMFをサポートするボランティア「ハーモニー」。アカデミー生たちに様々な日本文化を体験してもらうプログラムの企画、リハーサルの合間にドリンクや軽食を

Harmony

提供するハーモニー・コーナーの運営、コンサート会場でのグッズ販売など、得意分野でPMFをバックアップしてくださっています。いつもありがとうございます!
その「ハーモニー」が設立20周年を迎え、代表を務める榊原綾子さんに今後の抱負を聞きました。

PMFボランティア「ハーモニー」
コーディネーター 榊原 綾子

ハーモニーは会員同士がつながり合い、響き合って、美しいハーモニーを奏でるように活動しています。

写真:PMFボランティア「ハーモニー」コーディネーター 榊原 綾子

札幌が世界に誇る国際教育音楽祭PMFに関わり、世界中から集まる才能豊かな若いアーティストを支援できることに喜びと感謝を感じつつ、これからもPMFのために、PMF組織委員会と連携しながら、会員一同、心を合わせて進んでいきたいと思います。

写真:日本文化を体験するアカデミー生
 
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